特集:ガリフナの世界
特集:ガリフナの世界では、中央アメリカのホンジュラスに暮らすガリフナの人びとの祈り、音楽、踊り、そしてモノづくりや食生活を記録した民族誌映像をお送りします。ガリフナとは、1797年にカリブ海東端のセント・
【シネマ館】『ドゥグ:ガリフナの祖霊信仰』は、災いがつづくことから祖先の怒りを鎮めるために行われた儀礼の貴重な記録。海の向こうから死者の霊を迎え、歌と踊りで慰撫する。西アフリカや、カリブ海セント・ビンセント、さらにハイチのブードゥーやキリスト教カトリックが習合した独自の宗教儀礼が4日間にわたって行われる。
【フィールドノート】『ガリフナの音楽と踊り』では、日々の生活のなか、喜びや悲しみを歌と踊りに昇華させているガリフナの音楽や踊りの文化を中心に紹介する。ガリフナは、誕生日や祝祭日に親しい友人が集って歌い踊り明かす。友情を表す「ウングウング(友情)」、親愛なるものの死を弔う「プンタ(弔い)」、そして新たな生を呼び起こす「クリオウ(欲情)」へと、次第に増していく激しいリズムに心を掴まれる。「インディオ・バルバロ(あきれたインディオ)」は、村を訪れる仮装の異人。無言のまま村人に迫り、汚れた体をなすりつけて喜捨を要求する。「ワナラグア(仮面舞踏)」は鮮やかなドレスのような衣装で激しいリズムを刻む男たちの踊り。白人女性に扮して戦ったという戦士に由来するという。
このほか【フィールドノート】では、ガリフナの魂と言われる皮張太鼓ガラオンの制作を記録した『ガリフナ太鼓 ガラオンをつくる』、ガリフナの主食キャッサバ・パンの調理を記録した『ガリフナの主食:キャッサバ・パンをつくる』も合わせて紹介します。
撮影・監督の冨田晃は1980年代末からホンジュラスを中心にガリフナ文化に関する調査・研究をしています。本特集で紹介するのは1990年代初頭に撮影した貴重な記録映像です。特集に合わせて、冨田晃による季刊民族学の関連記事も掲載します。本ページ下部のリンクから参照してください。
【シネマ館】 『ドゥグ:ガリフナの祖霊信仰』(40分/1994・1996年撮影) 【フィールドノート】 『ガリフナの音楽と踊り』(28分/1991-1996年撮影) 【フィールドノート】 『ガリフナ太鼓 ガラオンをつくる』(6分/1993年撮影) 【フィールドノート】 『ガリフナの主食:キャッサバ・パンをつくる』(5分/1993年撮影)
冨田晃(とみた・あきら) 1963年浜松生まれ。1989年、青年海外協力隊員としてホンジュラスに派遣。 以来、ガリフナ人の文化研究をライフワークにしている。
《特集:ガリフナの世界》予告編
ドゥグ:ガリフナの祖霊信仰
発端は、災いがつづくことだった。ガルシア家の娘イサは、亡き祖母エバが夢に出て寝付けぬ日々をおくっていた。イサの母親フアナは数か月前から足のすねが腫れあがりときおり出血していた。そして、叔父が交通事故にあうのだった。祭司はその原因が、亡き祖母エバの怒りであるという。そこで、エバの子や孫が集まって、祖先の霊をこの世に招き、もてなし、願いを聞き、送り返す儀礼ドゥグを4日間にわたりおこなうことにした。
(40分/1994・1996年撮影/2021年/Hi8→HD/カラー)
ガリフナの音楽と踊り
(28分/1991-1996年撮影/2021年/Hi8→HD/カラー)
ガリフナ太鼓 ガラオンをつくる
(6分/1993年撮影/2021年/Hi8→HD/カラー)
ガリフナの主食:キャッサバ・パンをつくる
(5分/1993年撮影/2021年/Hi8→HD/カラー)