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2022.12.14

風苗(かぜな) TEUGA

東京ドキュメンタリー映画祭 第1回「人類学・民俗映像部門」奨励賞受賞作品を初配信!

美しい棚田が広がるタイの山間部。山水画のようなカレン族の村で、人々が生きるその「風景」を成り立たせている緊張関係にカメラを向けた『風苗(かぜな)』。劇場未公開の本作を初配信します。

マンチェスター大学映像人類学修士課程に学んだ白井樹監督が、タイの最高峰ドイ・インタノンのカレン族の村に通って作り上げたこの映像人類学作品は、美しい景観を求めて訪れる観光客が増える村で、田畑を耕しながら暮らす村の若い世代の変化を静かに映し出します。

原題の「TEUGA」(読み方をカタカナ表記するなら「トゥガ」)とは、カレンの人々の言葉で「苗代から田へ移し植えるころの稲」を指し、日本語で言えば「早苗/玉苗」のこと。稔りへの可能性を孕んだ稲苗に、さまざまな存在を媒介する中間的な意味合いが込められています。

白井監督は、村人と訪問者、撮る者と撮られる者、非人間と人間といった図式を視野に入れながらも、その図式を超えて、誰もが生きることの核に持っている「風景を生きる」営みを見つめ、その意味を問い直す機会になることを願っているといいます。

2021年に創設された東京ドキュメンタリー映画祭「人類学・民俗映像部門」では、審査員の中沢新一氏(思想家)と北村皆雄氏(映画監督)が高く評価し、予定になかった奨励賞を急遽設けて贈ったという意欲作です。どうぞご覧ください。

《作品概要》多くの野生生物と人々を懐深く育んできたタイの最高峰、ドイ・インタノン。東ヒマラヤの果てに位置するこの山腹に棚田を拓いたカレン族の村で、アサックと家族の暮らしは大きな変化を経験していた。美しい景観を求めて訪れる観光客が増える中、村の若い世代は田畑を耕しながら、2012年以降SNSを駆使して「ホームステイ」の運営を始める。同時代を生きるこの村で、時とともに変わりゆくもの、そして変わらないものとは―。
自分という存在と共に、同時に自分を離れて広がっていく風景。非人間と人間、村人と訪問者、撮る者と撮られる者といった図式を超えて、誰もが生きることの核に持っているような「風景を生きる」営みを見つめ、その意味を問い直す機会になることを試みた作品。
(2019年撮影/2020年/46分/カラー/16:9)

【撮影・録音・編集・監督】白井樹
【出演】アサック、カンチャナー、ポーノートゥー 他
【歌】ウィチャイ・サンガンガム

東京ドキュメンタリー映画祭2021「人類学・民俗映像」部門 奨励賞受賞作品
Vision du Réel(ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭)2021 VdR-Market(スイス)推薦・参加作品
27th Film Festival della Lessinia(イタリア)正式出品
8th Bozcaada International Festival of Ecological Documentary(トルコ)正式出品

【白井樹監督プロフィール】1988年生まれ。一橋大学社会学部で文化人類学を専攻時、インドのシッキム州に1年半留学しフィールドワークを行う。2015年以降、タイの最高峰ドイ・インタノンのカレン族の村に通い写真作品を制作。2019年にマンチェスター大学映像人類学修士課程修了後、映画『TEUGA(邦題:風苗)』を発表し、東京ドキュメンタリー映画祭2021「人類学・民俗映像」部門で奨励賞を受賞した他、複数の海外映画祭で上映される。

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