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2022.10.28

特集:アジアの柱立祭り

切り出した巨木を大地に立てて神や精霊との交感の手段とする「柱立て」の文化は、日本各地、アジアの祭祀によく見られます。ヨーロッパにもメイ・ポールやクリスマスツリーなど、キリスト教以前に由来する文化がみられ世界的な広がりがあるといえるでしょう。
「特集:アジアの柱立て祭り」は、世界最大の柱立て祭りといわれる長野県の「諏訪の御柱祭」の全容を捉えた平成4年の記録。そして、ネパールの国中を挙げて行われるインドラ神の祭「インドラ・ジャトラ」の記録をお送りします。いずれも、山から大木を切り出し里へ下ろすことで、荒ぶる神や精霊を迎え入れ、その絶大な力と人々が交感しようとするものです。熱狂の中に神々の姿が現れる祭りを捉えた2作をどうぞご覧ください。

『諏訪の御柱 平成四壬申年 ―上・下社総集編―』

七年目毎の寅申年に巡りくる長野県諏訪の「おんばしら」は、16本もの巨木を切り出し、曳きおとし、荒ぶる山の大木を里に下ろして神にする壮大な儀式だ。そのスケールといい、参加人数といい、歴史、伝統の深さ、勇壮さ、荒々しさ、あでやかさからも、世界最大の柱立て祭りといえる。その御柱祭の祭暦の始まりから、一連の神事、行事の全てを3年にわたって記録。その全容をとらえた。
(1990-1992年撮影/1992年/60分/カラー/4:3)

【監督・構成】北村皆雄
【撮影】明石太郎・森照道・村口徳行・柳瀬裕史・柿木喜久雄・桜井勝之
【学術協力】諏訪市博物館・田中基 
【制作】三浦庸子
【ナレーター】小松方正
【製作・配給】ヴィジュアルフォークロア

『インドラ・ジャトラ ―ネパールの女神と柱立てー』

インドラ・ジャトラとは、天空を支配するインドラ神(帝釈天)を祀る大祭である。毎年雨期明け間近の9月に行われる。この祭にはインドラ神信仰の他、山から曳いてきた巨木を立てる儀式、シヴァ神の憤怒の姿を表すバイラブへの信仰、少女の生き神クマリの山車巡行、死者儀礼などの要素が複雑に絡み合い形成されている。ネパールの信仰、歴史、造形さらには王権など様々な背景の集約が見られるインドラ・ジャトラ。本作はそれまで記録されていなかった聖なる柱の切り出しの儀礼を始め、9日間にわたる祭りの全容を記録したものである。
(1989年撮影/1991年/42分/カラー/4:3)


【監督・構成】北村皆雄・弘理子 
【撮影】明石太郎・桜井勝之・村口徳行・D.バスネット
【監修・学術協力】石井溥(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)・寺田鎮子(ネパール研究家)
【ナレーター】小林清志
【制作】三浦庸子・北村皆雄
【製作・配給】ヴィジュアルフォークロア
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