エトノスシネマ

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2022.08.31

【EC活用プロジェクトセレクション第1期】

世界中の知の記録の集積をめざした映像による百科事典

ECフィルム=「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」

ドイツ・国立科学映画研究所が1952年に科学映像をめぐる一大計画を開始。数多くの研究者・カメラマンを世界各地に派遣し、現在は失われた暮らしの技法や儀礼などを含む、3000あまりの映像アーカイブを30年近くかけて制作しました。世界中の知の記録の集積をめざした映像による百科事典ECフィルム=「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」です。

比較を可能にする体系的な映像を目指して作られたECフィルムは、演出や解説、BGMを徹底的に排し、20世紀の民族誌映像のひとつの型を作ったとも言われています。

日本では1970年より下中記念財団によってアジアで唯一のフルセットの映像が管理・運用されてきました。この度、(公財)下中記念財団の協力のもと、ECフィルムから貴重な記録映像を選りすぐり、テーマ別にお届けします。

Youtube、Facebook、Instagramなど、映像の断片が日常に溢れるいま、映像記録の原点ともいえるECフィルムが新たな輝きを放って見えてきます。魅惑の標本箱の宝探しが始まります。

 

【EC活用プロジェクトセレクション第1期プログラム】

001「世界はすべて楽器である」

002「仮装 異人になる」

003「こなねるたべる(1) 収穫・脱穀」

004「こなねるたべる(2) パン焼き・ねり食」

《編成:EC活用プロジェクト http://ecfilm.net/

001「世界はすべて楽器である」

このリズムはどこから来るんだろう?と想像が広がるプログラム。
まだ記録媒体がない頃、音楽は自ら奏でるしかない、歌が聞きたければ自分で歌うものであった。自分と、ごく近くにいる人たちを楽しませる、一緒に楽しむために生まれた音楽たち。農作業のリズムや、人に呼びかける声の延長にあるような音。

【収録作品】

E1971『ジュールのアルバニアの農民の婚礼』【南東ヨーロッパ/ユーゴスラヴィア/コソボ】
(1971年/20分30秒/モノクロ)

E2163『バリの音楽のリズム型』【東南アジア/バリ島/カランガセム地区】
(1973年/17分/モノクロ)

E1535『打楽器の演奏』【西アフリカ/象牙海岸/バウレ族】
(1968年/3分30秒/モノクロ)

E1533『木琴づくりと演奏』【西アフリカ/象牙海岸/バウレ族】
(1968年/13分/モノクロ)

E1539『木琴のオーケストラ』【西アフリカ/象牙海岸/バウレ族】
(1968年/3分30秒/モノクロ)
E1535『打楽器の演奏』

002「仮装 異人になる」

刈り入れ後の麦藁や自生する植物を使って、自分ではないナニモノかになる映像をあつめたプログラム。仮面をかぶる前と後では何が変わるのか?今マスクを毎日している私たちも、秘密の顔半分では何が起こっているのか?謎を謎のまま空想して楽しむのもよいかもしれません。
変身する過程が映っているのも見どころのひとつ。

【収録作品】

E0443『”アルアナ”仮面舞踊』【南アメリカ/ブラジル/アラグアイア地方/ヤバヘ族】
(1959年/20分30秒/カラー)

E2101『サッテルボーゲンの聖ルチア行列』【中央ヨーロッパ/オーバーファルツ】
(1970年/5分/モノクロ)

E1168『ヴィルフリンゲンのカーニバルの”藁男”』【中央ヨーロッパ/バーデン】
(1966年/16分/カラー)

E2346『コロゴの”マイ”仮面の登場』【ニューギニア/セピク川中流域/イアトムル族】
(1973年/7分/カラー)

E0976『ブェーギスハイムのレテーレの日曜日の藁人形“ヒスギール”』【中央ヨーロッパ/バーデン】
(1965年/11分/モノクロ)

E1454『クラウバウフ行進の子供たち(行動研究)』【中央ヨーロッパ/チロル】
(1966年/6分/モノクロ)
E1168『ヴィルフリンゲンのカーニバルの”藁男”』

003「こなねるたべる(1) 収穫・脱穀」

作物を刈取り、脱穀、製粉して食べるまでの記録をあつめたプログラム。
食という身近なテーマながら、今では機械化され、人の手から離れた作業ばかり。
大変な仕事というよりも、手を動かすことの楽しさ、息を合わせる心地よさ、無駄のない所作に目を奪われる。労働、遊び、食べるが分離していない世界の時間を眺めていると、体験したとのない自分にも、その記憶があったような気がしてくるのが不思議。
映像を見ながら、自分でやれることを探してみるのも楽しいかもしれません。

【収録作品】

E0674『鎌でのライ麦刈り』【中央ヨーロッパ/チロル】
(1963年/16分30秒/モノクロ)

E0702『収穫期間用のキビの脱穀』【東アフリカ/スーダン/コルドファン/マサキン族】
(1963年/10分/カラー)

E2162『イセーのリズミカルな米搗き』【東南アジア/バリ島/カランガセム地区】
(1973年/6分30秒/モノクロ)

E1960『テクラの脱穀の風習』【南西ヨーロッパ/ポルトガル】
(1970年/23分/カラー)

E0698『料理と食事』【東アフリカ/スーダン/コルドファン/マサキン族】
(1963年/10分30秒/モノクロ)
E0698『料理と食事』

004「こなねるたべる(2) パン焼き・ねり食」

ECフィルムのなかでも特にたくさんの地域での記録が残されている「パン焼き」、日本のそばがきのような「ねり食」(粉粥餅)をとりあげたプログラム。パンのあり方も、食べる場も、その土地によって全く変わる。見どころは「農家の夕食」(E1958)の大家族での食卓、「ボール型のパン焼き」(E1761)のお見事なパン整形、「ヴァデアの焼壺によるパン焼き」(E1637)の機能的な台所など。

【収録作品】

E1445『高山牧場の食事の用意』【中央ヨーロッパ/チロル】
(1967年/9分30秒/モノクロ)

E1638『ヴァデアのトウモロコシ粥料理”ママリガ”』【南東ヨーロッパ/ルーマニア】
(1969年/4分30秒/モノクロ)

E1786『マニオクの収穫と晒し、平パン焼き』【南アメリカ/ベネズエラ/オリノコ川源流域】
(1969年/12分/カラー)

E1761『ボール型のパン焼き』【北アフリカ/アトラス高地】
(1970年/8分/モノクロ)

E2312『テフの平パン焼き』【北アフリカ/エチオピア】
(1974年/6分/モノクロ)

E1637『ヴァデアの焼壺によるパン焼き』【南東ヨーロッパ/ルーマニア】
(1969年/8分/モノクロ)

E1958『農家の夕食』【中央ヨーロッパ/チロル】
(1966年/16分30秒/モノクロ)
E1445『高山牧場の食事の用意』
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