エトノスシネマ

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2020.10.30

特集:見世物小屋

人びとを惹きつけてやまない 祭礼の夜のあやしい輝きをみつめる2作品

『見世物小屋〜旅の芸人・人間ポンプ一座』は、1990年代に消えゆきつつあった見世物興行の一夜に密着し、芸人の生き様を描いたドキュメンタリー映画。公開当時、渋谷アップリンクで10ヶ月を超える長大ロングランを記録しました。『浅草酉の市〜今に生きる江戸の民俗〜』は、人々が商売繁盛を願って年の瀬に買い求める縁起物の熊手の制作現場、そして酉の市で繰り広げられる粋なかけひきを追います。バブル経済直前の息吹を感じる1986年撮影。現代に息づく江戸の習俗をのぞき見る貴重な記録です。2作とも世界初配信。

エトノスシネマリリース記念として、北村皆雄監督による手記「見世物小屋遊心ー人間ポンプ一座」『自然と文化59号』を特別採録!(本ページ下部のリンクからご覧ください。)

『見世物小屋〜旅の芸人・人間ポンプ一座』(1997年/119分)
『浅草酉の市〜今に生きる江戸の民俗〜』(1992年/35分)

■『見世物小屋〜旅の芸人・人間ポンプ一座』

かつて各地の祭りの場に忽然と現われ、おどろおどろしい絵看板と巧みなコマシで、不思議で怪しい、恐ろしくも珍しい、面白く物悲しい別世界へと引きずり込んだ見世物小屋。飲んだ金魚を生きたまま釣って出す、飲んだ碁石を黒白分けて出すなど、想像を絶する芸で観客の視線をわしづかみにした「人間ポンプ」こと安田里美さんと、一座9人の見世物小屋興行を内側から記録。それぞれに事情を抱えた芸人たちの芸と人生、その光と闇の世界を捉えた。医者も法律も宗教も救えない人たちを「見世物小屋」が救っている。
人間ポンプ安田里美さん

■『浅草酉の市〜今に生きる江戸の民俗〜』

「酉の市」は下町浅草の鷲神社の祭礼で、江戸時代から歳末を彩る年中行事として庶民に親しまれてきた。熊手職人、緑起物の熊手を巡る売り手と買い手のかけひき等、今に生きる江戸の民俗を紹介。文化人類学者と映像作家の共同で作成した。
1986年の酉の市

たこ娘の絵看板(『見世物小屋』より)

コメント

  • 普通の世界では冷たい扱いを受ける人たちが、この世界では暖かく抱擁されていて、しかも、その人たちがその空間にいる資格を持つのは、普通の社会からはじき飛ばされてしまったからここにいるということで、だからこそ価値がある。だから、すごく暖かい優しさを感じて、僕は「見世物の世界はすごいヒューマニズムの世界だ」と感じます。ー『見世物小屋』  [特別対談「祭りの風景―見世物とはなにか?」中沢新一×北村皆雄 ]より
    - 中沢新一(思想家)
  • 宗教も救えない、法律も救えない、病院の医者も救えない者を、見世物が救うー『見世物小屋』 
    - 麿赤兒(舞踏家/本作ナレーション)
  • もうこういう世界の記録は二度ととれないー『見世物小屋』 
    - 鵜飼正樹(大衆文化研究)