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2021.08.15

特集:アジアの生と死

夏のお盆は、日本人にとって生者と死者が交流する大切な機会です。先祖の思い出を偲ぶばかりでなく、祭事や儀礼を通してより直接的に死者という存在と交わってきました。

特集:アジアの生と死では、東北各地に伝わる「ハヤマ信仰」からみた日本人の生者と死者の交流、チベットの死者の枕辺で唱えられる「死者の書」の知識、インドの宗教都市バラーナスで天寿を全うしようとする人々の最期の営みを描いた3つの作品を紹介します。

よりよい死を迎えるために、死者の冥福を祈るため、あるいは、輪廻からの解脱を目指すためなど、アジアでは死に向けての探求が多様な形に現れています。そのいずれもが、人間がよりよく生き、そしてよりよく死ぬための知識や技術となって伝えられているようです。アジアのさまざまな生と死の文化を描いた3作品をぜひご覧ください。

【シネマ館】 『精霊の山 ハヤマ』(2007年/100分)
【シネマ館】 『チベット死者の書』(1994年/37分)
【シネマ館】 『バナーラス〜生と死の巡礼都市〜』(1995年/36分)

 

《特集:アジアの生と死》予告編

精霊の山 ハヤマ

東北には、人々の集落のほど近いところに、ハヤマ(端山・羽山・葉山)やモリの山と呼ばれる小さな山がある。日本では古来、目に見えないものとのつながりを大事にする伝統があり、ハヤマは山の神、山の精霊、祖霊の住処とされ、その信仰は今も息づいている。人も自然の精霊たちも死者もすべてのものが共に生きるという「ハヤマ」「モリの山」の思想は日本人の死生観、生命観の根幹を形作っている。日本人の心の原風景や生命観を、国の指定・選定重要無形民俗文化財である東北の民俗行事「木幡の旗祭り」「金沢の羽山ごもり」「山寺の夜行念仏」「三森山のモリ供養」を通して考察する思想家・中沢新一脚本の意欲作。地元山形の文化人、経済人の千歳栄の思いからこの映画が生まれた。
(2007年/100分/SD/カラー/16:9)

チベット死者の書

生きている者にとって死とは何か?苦悩に満ちた輪廻転生を、悟りの道程へと転化させるチベットの死の経典「死者の書」は、今も死に臨んだ人の枕辺で唱えられている。チベット仏教が蓄積してきた死への深い洞察〈タナトロジー〉が生者に語りかけてくるものは何か?読むだけでは難解な「死者の書」の曼茶羅世界を、CGを用いながらわかり易く映像化。鳥葬や死の儀式なども収録。これは、チベット密教の世界が近くなる〈観る経典〉である。
(1994年/37分/ビデオ/カラー/4:3)

バナーラス〜生と死の巡礼都市〜

バナーラス〜生と死の巡礼都市〜
三千年前、悠久の流れガンジス川のほとりに開けたインド最大の宗教都市バナーラス。ここには、誕生の喜びから死の悲しみまで人間のあらゆる喜怒哀楽を受容し、人々に夢と希望を与え、死と苦しみから救ってくれる再生装置、癒しの仕組みが至る所にある。数ある沐浴場の一つアッスィー・ガートを中心に、生老病死のあらゆる節目で繰り広げられる祈りと暮らしを記録。死期を悟った者が最期の時を過ごす〈解脱の館〉や、超俗的な生活を送る修行者たち、巡礼者とそれを相手にする商売人など、様々な人間模様が展開する。
(1995年/36分/ビデオ/カラー/レターボックス16:9)
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